2025.08.08NEW
みなさま、こんにちは。
つくば市で戸建住宅のリノベーションをご提案しております、つくば住宅工房の橋本です。
新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。
建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
現在、千葉市で進行中のリノベーション案件にて、つくば住宅工房では耐震補強計画を実施しています。契約前のインスペクションから、プラン確定後の補強計画、そして解体後の精密診断まで──住まいの安全性を支えるための設計と判断を、段階的かつ丁寧に積み重ねています。
この現場での取り組みは、私たちが大切にしている設計思想そのものです。耐震補強は、感覚ではなく根拠に基づいて行うべきもの。予算の中で最適な性能を引き出すために、診断と設計の精度が問われます。
今回の案件では、以下のような流れで耐震補強計画を進めています。
一般診断法を用いて、非破壊検査を中心に建物全体の劣化度数を算出。初期段階での耐震性を把握し、リノベーションの方向性を検討します。
同じく一般診断法を用いて、補強計画を立案。この段階では、まだ解体前のため、全体的な安全性を見ながら補強方針を検討します。
精密診断法に切り替え、柱や耐力壁ごとに劣化度数を設定。より正確な診断結果に基づき、無駄のない補強設計を実施します。
耐震診断には主に「一般診断法」と「精密診断法」の2種類があります。
私たちは、一般診断法を「余計な設計」と考えています。耐震補強は、ただ強くすれば良いのではなく、どの評点まで上げるかを明確に設定し、その目標に向けて補強を行うことが設計の本質だと捉えています。
耐震補強において重要なのは、「評点」という数値的な目標を設定することです。たとえば、評点1.0以上を目指す場合、その数値に達するように補強を設計・施工します。
この考え方により、無駄な工事を避け、コストパフォーマンスの高い改修が可能になります。設計とは、予算内で最適な性能を引き出すための知的な判断の積み重ねであり、感覚や経験だけに頼るものではありません。
リノベーションで間取りを変更する際、耐震診断を行わずに進めることは非常に危険です。構造に関わる壁や柱を動かすことで、建物のバランスが崩れ、耐震性が著しく低下する可能性があります。
職人の経験や勘に頼るだけでは、構造的な安全性は担保できません。専門知識に基づいた診断と設計こそが、安心と納得につながると私たちは考えています。
2025年からは、改修工事に対しても建築基準法が改正され、構造部分の改修にはより厳格な対応が求められます。壁・床・屋根といった骨格部分に手を加える際は、法令に準じた設計・施工が必須です。
つくば住宅工房では、法改正を見据えた設計体制をすでに整えており、安心してご相談いただける環境を整えています。
リノベーションは、暮らしを豊かにするだけでなく、住まいの安全性を再構築する絶好の機会です。つくば住宅工房では、診断から設計、施工までを一貫して行い、根拠ある判断と丁寧なプロセスで、安心できる住まいづくりを支えています。
医療でも、症状に対して正確な診断と根拠ある処方が求められるように、住まいの改修にも専門的な知識と経験が欠かせません。感覚ではなく、構造的な根拠に基づいた設計こそが、安心と納得につながる──それが、私たちの設計思想です。