みなさま、こんにちは。
つくば市で戸建住宅のリノベーションをご提案しております、つくば住宅工房の橋本です。
新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。
建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
リノベーションという言葉は、しばしば「古いものを新しくする」行為として語られます。けれど本質は、過去と未来をつなぐ設計行為にあります。
建築家の思考には、空間を単なる箱ではなく、“人のふるまい”や“時間の重なり”として捉える視点があります。この視点こそが、画一的な提案では満たされない「暮らしの質」への欲求に応える鍵になるのです。
建築家・塚本由晴氏は、空間を「非施設型」として捉える思想を提唱しています。これは、空間が人の動きを規定するのではなく、人のふるまいが空間を形づくるという考え方です。
例えば、縁側でお茶を飲む、廊下で子どもが走る、台所で家族が集まる——そうした“ふるまい”が空間の意味をつくり出します。
リノベーションは、こうした記憶や行動を読み解き、空間に再構築する行為です。築年数の経った家には、時間の重なりがあります。その痕跡を丁寧に拾い上げることで、空間は“生きた場”へと変わっていくのです。
設計に入る前のヒアリングは、単なる要望の確認ではなく、暮らしの本質を探る対話です。私はヒアリングの中で、次のような問いを大切にしています。
こうした問いは、暮らしの記憶や価値観を引き出します。「なぜ?」を繰り返すことで、表面的な希望の奥にある本質的な願望が見えてくるのです。
たとえば「キッチンを広くしたい」という要望の裏には、「家族と一緒に料理を楽しみたい」「家電の置き場に困っている」「動線が悪くてストレスを感じている」といった、暮らしの質に関わる課題が隠れています。それを丁寧に言語化することで、設計は思想を伴ったものになります。
私が活動する茨城県——つくば、牛久、取手などの地域には、都市の利便性と自然の余白が共存しています。この“余白”こそが、思想的なリノベーションに向いていると感じています。
リノベーションは、単なる改修ではなく、地域と人の記憶をつなぐ行為でもあります。茨城の家々には、そうした可能性が眠っているのです。
設備や広さだけでは語れない空間の価値があります。建築家の思考を取り入れることで、空間は“生きた場”となり、そこに住む人の暮らしを豊かにします。
リノベーションは、過去を否定するのではなく、未来を肯定するための再設計。そのプロセスにこそ、住まいづくりの本当の価値があるのではないでしょうか。
つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー
二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者
既存住宅状況調査技術者
福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。
新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。
家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。
「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」