無から価値を生み出すリノベーション——そう聞くと、少し大げさに感じるかもしれません。
けれど、住宅展示場を巡り、性能やデザインを比較するほど「どれも似て見える」「本当に自分たちの暮らしに合うのだろうか」と感じている方にとって、この言葉は決して抽象的なものではありません。
今ある建物をどう活かし、どう再編集すれば、家族の時間が豊かになるのか。
新築か、フルリフォームか、リノベーションかという二択ではなく、「暮らしの価値をどこから創るのか」という視点で住まいを考えることが、迷いから抜け出すヒントになります。
つくば市で家づくりを検討する多くの方が立ち止まるこの問いに対し、建築家がいるつくば住宅工房は、建物の状態や立地条件だけで判断せず、暮らしそのものを起点にした答えを探してきました。
リノベーションの本質は、古さを消すことでも、流行をなぞることでもありません。
無から価値を創造するリノベとは、既存の建物を制約ではなく「可能性の塊」として捉え直す行為です。
多くの方が中古住宅や実家のリノベーションに不安を感じる理由は、「この建物で本当に大丈夫なのか」という見えない部分への恐れです。しかし、建築家の視点が入ることで、その不安は一つずつ整理されていきます。
まず大切なのは、今ある建物の構造や性能を正しく読み解くことです。
築年数だけで価値を判断するのではなく、基礎や構造体の状態、断熱のポテンシャル、敷地条件との相性を丁寧に確認していくことで、「活かせる部分」と「刷新すべき部分」が自然と見えてきます。これはカタログや間取り集では決して得られない情報です。
次に重要なのが、暮らしの再定義です。
部屋数を増やす、広く見せるといった表層的な話ではなく、「どこで家族が集まり、どこで一人になれるのか」「時間帯によって空間がどう使われるのか」といった生活のリズムを言語化していきます。ここを曖昧にしたまま工事を進めると、見た目は整っても、どこか居心地の悪い家になってしまいます。
そして最後に、性能をどう底上げするか。
高断熱・高気密という言葉だけが独り歩きしがちですが、本当に大切なのは「どのレベルまで引き上げれば、この家で長く快適に暮らせるのか」という現実的な着地点です。建物の特性に合わせて最適解を探ることで、過剰なコストをかけず、将来の光熱費やメンテナンス負担まで見据えたリノベーションが成立します。
住まいづくりを考え始めたとき、多くの方は「新築」か「建て替え」かという枠組みで悩みます。
しかし、無から価値を創造するリノベーションは、その二択から一歩外に出たところにあります。
リノベーションの大きな魅力は、立地や環境を引き継げる点です。
通い慣れた学区、気に入っているご近所との距離感、日当たりや風の通り道。新築では手に入りにくい条件を、そのまま活かせるケースは少なくありません。これは数字では測れない、暮らしの質そのものです。
さらに、間取りの自由度も見逃せません。
既存の壁や柱に縛られるイメージを持たれがちですが、構造を理解したうえで整理すれば、空間は驚くほど柔軟に再構成できます。吹き抜けを設けて光を落としたり、用途を限定しない余白のあるスペースをつくったりと、家族の成長に合わせて変化できる住まいが見えてきます。
コスト面でも、考え方次第で納得感は大きく変わります。
初期費用だけを見ると新築の方が分かりやすいかもしれませんが、リノベーションでは既存部分を活かすことで工事範囲を最適化できます。その結果、断熱性能の強化や設備の質にしっかり予算を回すことができ、ランニングコストを含めた長期的なコストパフォーマンスが高まります。
無から価値を創造するリノベーションは、誰が考えるかによって結果が大きく変わります。
建築家がいるつくば住宅工房の提案が重視しているのは、設計を「形づくり」で終わらせないことです。
最初に行うのは、要望の整理ではなく対話です。
「広くしたい」「明るくしたい」という言葉の奥にある、本当の理由を掘り下げていきます。家事動線のストレスなのか、家族との距離感なのか、将来への不安なのか。ここを丁寧にほどくことで、設計の軸がぶれなくなります。
次に、性能・デザイン・暮らしやすさを渾然一体として組み立てていきます。
断熱性能を上げるなら、窓の位置や大きさ、外観とのバランスまで含めて検討します。最初から同時に考えることで、無理のない美しさと快適さが両立します。
そして、完成後の暮らしまで視野に入れた提案です。
住んでからの光熱費、メンテナンスのしやすさ、将来的な間取り変更の余地。これらを最初に想定しておくことで、時間が経つほど良さを実感できる住まいになります。
リノベーションを成功させるために、特別な知識は必要ありません。
ただ一つ大切なのは、「何を新しくするか」よりも「どんな暮らしを続けたいか」を言葉にすることです。
今の住まいで不満に感じていること、好きなところ、変えたくない風景。
それらを整理することで、建物にどんな価値を重ねていくべきかが見えてきます。無から価値を創造するリノベーションは、すでにあるものを丁寧に磨き直す作業でもあります。
建築家がいるつくば住宅工房では、図面や見積もりの前に、暮らしの話から始める無料相談を大切にしています。
また、完成後の住まいを体感できる最新のOB宅訪問を通して、写真や言葉では伝わらない空気感に触れることもできます。
つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー
二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者
既存住宅状況調査技術者
福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。
新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。
家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。
「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」
