リフォームを考え始めた多くの人が、最初に立ち止まってしまうのが「会社選び」です。検索をすれば情報はいくらでも出てくるのに、見れば見るほど分からなくなる。この感覚は、とても自然なものです。初めてのリフォームは、比較の物差しが見えにくい世界だからです。
情報が多すぎて判断基準を見失ってしまう理由は、情報は豊富でも「どう比べればいいか」が示されていないことにあります。価格、施工事例、口コミ、保証内容などは一見すると重要そうですが、それぞれ前提条件が異なります。背景を知らずに並べてしまうと、どの会社も同じように見えてしまい、決めきれなくなるのです。
完成後に見えなくなる断熱や気密、構造や配管といった部分ほど重要であることも、迷いを深める要因です。この“分からなさ”が重なり、会社選びそのものに不安を感じてしまう人は少なくありません。

初めてリフォーム会社を探す際、多くの人が価格や知名度を重視します。しかし、それだけで決めてしまうと、暮らし始めてから違和感を覚えることがあります。見積金額は、何をどこまで含めているかで大きく変わるため、数字だけを見て判断すると完成後にズレが生じやすくなります。
また、会社の規模や知名度が安心感につながる一方で、それが必ずしも自分たちの暮らしに合った提案につながるとは限りません。リフォームは個別性の高い仕事だからこそ、「どこまで話を聞いてくれるか」「暮らしまで想像してくれるか」が重要になります。

価格や規模以外で判断するためには、チェックリストではなく考え方の軸を持つことが大切です。一つ目は、工事の話ではなく暮らしの話から始まっているかどうかです。背景にある生活の理由まで汲み取ってくれるかが、完成後の納得感を左右します。
二つ目は、断熱や気密といった性能を、暮らしの変化として説明してくれるかどうかです。専門用語ではなく体感として伝えてくれるかに、その会社の姿勢が表れます。三つ目は、今だけでなく10年先の暮らしまで一緒に想像しているかという視点です。

提案力の差は、完成後ではなく打ち合わせの時間の使い方に表れます。最初の段階でどれだけ暮らしの話に時間を割いているか、要望に対して別の選択肢を提示してくれるかどうかが重要です。
メリットだけでなくデメリットも含めて説明してくれる姿勢には、短期的な満足ではなく、長く住むことを見据えた視点が表れます。

リフォームでは工事費用に目が向きがちですが、実際に効いてくるのは暮らし始めてからのコストです。断熱や気密が不十分なままでは、光熱費がかさみやすくなり、長期的な負担につながります。
すべてを一度に行う必要はありませんが、どこにお金をかけるかを整理し、長く過ごす場所を優先することが大切です。その判断を一緒に考えてくれる会社かどうかが、大きな分かれ目になります。

リフォーム会社選びは正解を探す作業ではなく、暮らしについて安心して話せる相手を見つけることです。価格や会社名よりも、対話の姿勢や考え方に目を向けてみてください。
「この人たちなら一緒に悩んでくれそうだ」と感じられる相手に出会えたなら、それは大きな一歩です。実際の暮らしや考え方に触れる機会を持つことで、判断しやすくなるはずです。
つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー
二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者
既存住宅状況調査技術者
福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。
新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。
家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。
「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」