2025.08.01NEW
茨城県つくば市で中古住宅のリノベーションをお考えの方へ。費用感や施工事例、相談の流れまで丁寧に解説。理想の暮らしを叶える第一歩をサポートします。
みなさま、こんにちは。
つくば市で戸建住宅のリノベーションをご提案しております、つくば住宅工房の橋本です。
新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。
建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
―軒のある住まいが、今こそ再評価される理由―
かつて「軒のある暮らし」について綴ったことがあります。軒は、ただの屋根の延長ではなく、季節の移ろいを受け止め、光や風、雨との距離感を調整してくれる、日本の住まいにおける知恵の象徴です。そんな軒のある暮らしに通じるのが、「パッシブな暮らし」。自然の力を活かし、無理なく快適に過ごす住まい方です。
軒ゼロ住宅が主流になった背景
ここ最近の住宅では「軒ゼロ」というデザインが主流となっています。すっきりとした外観、シャープな印象、そしてコストダウンの手法としても採用されやすく、都市部の限られた敷地では合理的な選択とも言えます。
しかし、20年ほど前までは、軒があることは当たり前でした。雨をしのぎ、夏の強い日差しを遮り、冬には太陽の光を取り込む。軒は、自然と共に暮らすための「受け皿」であり、住まいの呼吸口でもありました。
地球環境の変化が、軒の価値を再び浮き彫りに
近年の猛暑や異常気象、ゲリラ豪雨など、私たちの暮らしを取り巻く環境は大きく変化しています。こうした気候の変化に対して、軒のある住まいは非常に有効です。軒があることで、日射をコントロールし、雨の吹き込みを防ぎ、室内の温度や湿度を安定させることができます。
今こそ、軒の重要性を肌で感じられる時代になったのではないでしょうか。
分割される土地と、縮小する宅地面積
現代の住宅市場では、広い土地を分割して販売する傾向が強まっています。これは以下のような背景によるものです:
・購入者層の多様化により、小規模宅地のニーズが増加
・地価の高騰により、広い土地の一括購入が難しくなっている
・分割販売によって、売主側の資産価値を最大化できるメリットがある
この流れにより、宅地の平均坪数は年々縮小しています。実際、国土交通省の「建築着工統計調査報告」によると、新設住宅の1戸あたりの床面積は、2000年度の96.87㎡から2023年度には77.73㎡へと約20%も縮小。軒のような“余白”を持たせる設計が難しくなっているのが現状です。
既存住宅は、パッシブな暮らしの最高の素材
新築で軒を設けようとすると、コストや土地の制限から実現が難しくなっています。だからこそ、すでに軒のある既存住宅は、パッシブな暮らしを理想としている方々にとって、最高の素材だと考えます。
既存住宅には、軒があるだけでなく、風の通り道や日射の入り方など、自然との調和を前提とした設計が残されています。これらを活かしてリノベーションすることで、現代の技術と融合させた、より快適で持続可能な住まいが実現できます。
リノベーションで軒のある暮らしを再構築する
・軒の深さを活かした断熱・遮熱設計
・自然素材との組み合わせによる温湿度調整
・外と内の「間」をつくることで、暮らしに余白を生む
軒のある住まいは、単なる建築的な要素ではなく、自然との関係性を築くための「思想」でもあります。リノベーションは、その思想を現代に再構築する手段なのです。