2025.08.16NEW
みなさま、こんにちは。
つくば市で戸建住宅のリノベーションをご提案しております、つくば住宅工房の橋本です。新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。
建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
家づくりは、単なる買い物ではありません。それは「人生の器」を選ぶ行為であり、自分たちの価値観や未来像を形にするプロジェクトです。
にもかかわらず、多くの人が「どこに頼めばいいのか分からない」と迷い、情報の海に溺れてしまいます。
住宅会社選びの難しさは、単に選択肢が多いからではありません。その背景には、住宅業界の構造的な特徴が深く関係しています。
自動車業界では、トヨタやホンダといった大手メーカーが市場の大半を占め、シェア率が「安心の指標」として機能します。
大量生産・全国流通・均質な品質という前提があるからこそ、シェア率は信頼性の裏付けとなるのです。
しかし、住宅業界はまったく異なります。実際、日本の住宅供給の7〜8割以上は地場の工務店によって担われています。
大手ハウスメーカーでさえ、全国シェアは数%〜十数%程度。つまり、住宅業界は「地域密着型の小規模事業者」が主役なのです。
これは、住宅というものが地域の気候・文化・暮らし方に深く根ざした“一点もの”であることの証。
全国一律のブランドでは対応しきれないからこそ、地場工務店が選ばれているのです。
しかし、ここに一つの難しさがあります。選択肢が多すぎるのです。地域ごとに無数の工務店が存在し、情報も断片的。
まさに“あたり”を引くのが難しい世界です。知名度や広告の派手さだけでは、安心して任せられる会社かどうかは判断できません。
シェア率は、ある種の「安心材料」にはなります。施工実績が多く、知名度も高い。しかし、それは「最大公約数」であって、「最適解」ではありません。
むしろ、少数派の会社こそ、あなたの価値観に寄り添い、細部までこだわった提案ができる可能性があるのです。
本当に大切なのは、その会社がどんな“思想”を持ち、どんな“姿勢”で住まいづくりに向き合っているか。
価格やデザインだけでなく、対話の中で感じる誠実さ、共感力、そして細部へのこだわり——それらが、安心して任せられるかどうかの判断軸になります。
住宅は、図面や仕様書だけでは語りきれない“暮らしの質”を左右します。
だからこそ、会社の理念や設計思想、現場の空気感まで含めて、総合的に見極める必要があります。
住宅会社選びは、単なる比較ではありません。それは、自分の人生観に寄り添ってくれる“価値観との出会い”です。
シェア率に惑わされず、自分の理想を丁寧に言葉にし、それを受け止めてくれる一社と出会うこと。
その出会いが、安心と納得に満ちた住まいづくりの第一歩になるのです。
そして、もしその会社が、あなたの言葉に耳を傾け、暮らしの哲学に共鳴し、細部まで誠実に向き合ってくれるなら——
それは、単なる“あたり”ではなく、人生の伴走者との出会いなのかもしれません。