壁>窓

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投稿日:2025年4月19日 / 最終更新日:2025年4月19日

みなさま、こんにちは。

 

本日は、「三世代が住み継ぐ家」の現場から熱伝導率について、お話したいと思います。

 

今回のリノベーションでは、1階の和室(押入れと仏間)8畳を個室とFCLにする計画になっております。

元々の和室には、1.8m幅の掃き出し窓と2.7mの4枚引違窓がついておりましたが、4枚引違窓を幅70cmの小さい2枚引違窓に交換する計画といたしました。

理由は、簡単です。

壁と窓では、断熱性能に大きな差があるからに他なりません。

まずは、材料ごとの熱還流率を見ていきましょう。

熱還流率とは、熱貫流率(U値)とは、壁や窓などの建材を介して熱がどれだけ移動しやすいかを示す数値です。数値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱性能が高いことを意味します。W/m²・Kの単位で表します。」

 

出所:断熱建材協議会 https://dankenkyou.com/buibetsuhyou.html

 

上の一覧表は、窓ガラスの熱還流率が書かれており、今回、使用する窓の熱還流率に赤枠をつけております。

熱還流率は、「2.91W/m²・K」なのに対し、グラスウールの熱還流率は、「0.43W/㎡・K」と8倍以上の差があります。

熱還流率は、数値が小さければ小さいほど、熱が伝わりにくく、断熱性能が高いことを表しますので、圧倒的にグラスウールの方が断熱性能が高いということになります。

今回は、金属製サッシの数値と比較しましたが、樹脂サッシの3枚ガラスと比較しても、グラスウールの方が断熱性が高いことがお分かりいただけるかと思います。

また、個室が道路に面していることもあり、もともとの大きな窓では、防犯性が低い状態であったため、窓を小さくしたことで、防犯性も高くなりました。

コストや間取りによって、一概に絶対いいとは、言えませんが、本当に断熱性能を上げるのであれば、無駄な窓を無くして、断熱材の壁にしてしまうことが、一番理にかなっていると思います。

今回のお家は、東西に日射を遮る建物等がないため、朝と夕方に強い日差しが室内を射す環境にありましたので、東西の無駄に大きな窓を無くす、窓を小さくすることで、主に夏の暑さを軽減する計画としております。

工事の範囲や施工する断熱材の性能にもよりますが、つくば住宅工房も先日、登録いたしました住宅省エネ2025キャンペーンの補助金対象になりますので、間取りのリノベーションをご検討されている方は、性能向上リノベーションも一緒にご検討してみてはいかがでしょうか。

まだ、春になったばかりというのに、つくば市内では、午後2時で32度を観測しておりました。

一体、夏は何度になるのだろうか。

 

 

著者プロフィール 
橋本 海知(はしもと かいち)

つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー

国家資格

二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者

技術資格

既存住宅状況調査技術者

福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。

新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。

家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。

  • 専門領域・関心分野
  • リノベーション/リフォーム
  • インスペクション
  • 耐震診断、温熱計算
  • 中古住宅の価値再生
  • 高性能住宅設計
  • 補助金制度活用・コスト最適化
  • 顧客との対話を重視した設計提案

メッセージ

「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」

橋本 海知(はしもと かいち)

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