
新築や建て替えをする際、快適な住まいを手に入れる方法として注目されているのが、国や地方自治体の「補助金の活用」です。
コロナ禍以降、住宅価格の高騰や建築資材の値上がりが続いています。
補助金を上手に取り入れることで、建築費の負担を軽くし、無理のない資金計画で性能の高い住まいが実現できるかもしれません。
この記事では、つくば市で利用できる補助金の概要や、補助金を最大限に活かす賢い家づくりの工夫について解説します。

補助金は、単に「お金がもらえる」だけでなく、「高性能で経済的な家づくり」を実現するための重要な手段です。
ここでは、そのメリットを3つに分けてご説明します。
補助金を活用する最も直接的なメリットは、建築費の負担を軽減できることです。
国や自治体の補助金は、数十万円から百万円単位に及ぶため、資金計画に大きな余裕が生まれます。
この余裕を活かし、設備のグレードアップや理想のデザインに費用を充てることで、妥協のない家づくりが可能です。
補助金の多くは、高い断熱性能や省エネ性能などが適用の条件となっています。
これらは、住宅の基本性能を高めるために不可欠な要素です。
補助金を申請することは、結果的に「夏は涼しく、冬は暖かい」、一年中快適な家を建てることにつながります。
補助金の対象となる高性能な住宅は、長期的に見て大きな経済的メリットがあります。
高性能な住宅は省エネ性能が高いので、エアコンなどの使用頻度が減り、毎月の光熱費を大幅に抑えられます。
また、耐久性や省エネ性の高さは、住宅の資産価値を維持する上で重要な要素です。
将来売却する際にも高い評価を受けやすく、資産価値が下がりにくいという魅力があります。

つくば市で新築時に利用できる補助金は、主に「国の制度」と「つくば市独自の制度」に分けられます。
これらを組み合わせて活用することが、賢い家づくりの第一歩です。
国の補助金は、特に高い省エネ性能を持つ住宅に手厚い支援があります。
①子育てグリーン住宅支援事業
省エネ性能の高い新築住宅に対し、補助金が交付される制度です。
GX志向型住宅は、予算上限に達しているため受付は終了していますが、長期優良住宅・ZEH水準住宅については申請が可能です(2025年11月10日現在)。
補助金額は長期優良住宅が80万円、ZEH水準住宅が40万円となっており、古い家の除去をともなう場合はさらに20万円が加算され、最大100万円が交付されます。
子育て世帯、若者夫婦世帯が主な対象となります。
建物の断熱性能や、設備の省エネ基準を満たすことで申請が可能です。
②ZEH(ゼロエネルギーハウス)補助金
太陽光発電などを活用し、年間のエネルギー消費量をゼロに近づける住宅に対して補助金が交付されます。
例えば戸建ての場合、補助金額はZEHが55万円、ZEH+が90万円となっており、追加設備がある場合は設備の種類に応じて2万~90万円が加算されます。
断熱性能を高めてエネルギー消費を抑える「省エネ」と、太陽光発電などでエネルギーを創出する「創エネ」の両立がポイントです。
つくば市も、地域の実情に合わせた自治体独自の支援策を実施しています。
①つくば市クリーンエネルギー機器設置事業補助金
つくば市は、温室効果ガス排出量を削減していくための取り組みとして、エコキュートやエネファーム、蓄電池の設置に対して補助金を交付しています。
災害時の備えとしても有効な蓄電池の導入を後押しする目的もあります。
補助金額は、蓄電池とエコキュートは5万円、エネファームは9万円です。
市の予算額に達し次第、受付終了となります。
②つくば市低炭素ガイドラインに基づく認定奨励金
環境に配慮した高性能な家を建てることで、10万円の奨励金が受けられます。
国と自治体の補助金は、条件を満たせば併用できる場合があります。
例えば、「ZEH補助金」と「つくば市クリーンエネルギー機器設置事業補助金」を組み合わせることで、数十万円から百万円以上の負担軽減につながるケースも少なくありません。

補助金を活用するだけでなく、家づくりの根本的なコストを見直し、補助金の価値を最大限に高めることが重要です。
自由設計の注文住宅は魅力的ですが、設計費や工期がかさみがちです。
そこで、設計の効率化を図り、建築費を従来の1/2~2/3に抑える提案が注目されています。
この方法は、性能やデザインを犠牲にするわけではなく、暮らしやすさとコストのバランスを最大限に考慮した住まいづくりです。
企画設計のノウハウを活かして、建材を規格化・統一化することで、高品質な家を適正価格で提供できます。
これに補助金を組み合わせれば、無理なく理想の住まいを実現できるでしょう。
補助金の対象となる多くの住宅は、高い省エネ性能が大前提です。
そこで注目されているのが「パッシブデザイン」です。
これは、太陽光や風といった自然の力を最大限に活用し、快適性と省エネを両立する設計手法です。
こうした工夫により、エアコンに頼りすぎない健康的な住まいを実現し、補助金の要件も満たすことができます。
①高性能な断熱材や窓で外気の影響を抑える
夏の暑さや冬の寒さを室内に伝えにくくし、冷暖房効率を高めます。
②庇(ひさし)や窓の配置で日射をコントロール
夏は日差しを遮り、冬は暖かな光を室内に取り込み、自然の力で快適な温度を保ちます。
③太陽光発電を取り入れてエネルギーを自給
創エネを実現し、光熱費を大幅に削減します。

補助金を利用するには、いくつかの注意点があります。
補助金には必ず申請期限があり、締め切りを過ぎると利用できません。
制度によっては、着工前に申請が必要なものもあるため、事前の情報収集が重要です。
また、補助金は予算がなくなり次第、受付が終了します。
補助金の利用を検討されている場合は、早めに建築会社等に相談しましょう。
省エネ性能や耐震性を証明するための専門的な書類が必要になるため、工務店や建築会社と連携して進めることが大切です。
補助金制度は年度ごとに内容や条件が変わることがあります。
常に最新の情報を確認しながら進めることが重要です。

茨城県つくば市で新築を検討するなら、補助金を活用した賢い家づくりが大きなカギとなります。
国や自治体の補助金を上手に組み合わせれば、建築費を抑えつつ、高性能で快適な住まいを手に入れることが可能です。
さらに、設計コストを抑える工夫や、パッシブデザインによる自然エネルギーの活用を組み合わせれば、補助金の枠を超えた大きな価値を得られるでしょう。 「安心・快適・経済的」、そして「未来にやさしい住まい」を実現するために、ぜひ補助金を賢く活用し、無理のない資金計画で理想の住まいを叶えてください。
つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー
二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者
既存住宅状況調査技術者
福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。
新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。
家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。
「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」