2025.05.21
みなさま、こんにちは。
つくば住宅工房の橋本です。
前回に引き続き、プロジェクトが始動致しましたテーマ「暮らしを楽しむ、延びやかな家」リノベーションでのインスペクションをお届けしたいと思います。
前回のブログの冒頭にて、今回のインスペクションの結果、屋根と耐震への処置が必要ではないかと判断させて頂きましたことについてお話し致しました。
本日は、耐震のインスペクション結果について、お話ししたいきたいと思います。
今でこそ、プレカットによる、構造材が一般的ですが、今回の建物の頃は、まだまだ主流ではありませんでした。
「昔は、大工さんが刻んだ」というフレーズ、聞かれたことありませんか?先ほど、出てきましたプレカットとは、柱や梁の長さや接合部の加工のデータ(プレカットデータやプレカット図と読んでいます。)を機械に打ち込むと、機械がその通りに構造材を加工する方法です。
プレカット図のイメージ
昔は、それを大工さんがやっていたんです。
家の図面が決まると、自宅にある加工場で、1ヶ月以上かけて、土台、柱、梁を手作業で加工し、それを現場へ搬入して、家を建てていました。木材を加工している映像を見たことがない方は、ぜひ見てみてください。日本の伝統技術の一つであり、後世にも残していきたい技術です。
絵図板と呼ばれる、今でいうプレカット図です。
昔は、薄い板の上に大工さんが手書きで構造図を製図していました。
現場では、大工さんが先頭を切って、判断し、指示を出しながら、工事を進めていました。
それゆえに大工さんによって、耐震の考え方が少し異なっており、耐震診断をすると、筋交がなければいけないところが窓になっていたりと、大工さんによって、耐震性能が決まっていたことも確かです。
今回の家でも、図面上では、柱が描かれている箇所に柱が無く、耐震診断の結果、無いことによる耐震への影響が若干ございました。
インスペクションを受けるまで、I様も気が付かなかったとのことでした。
ただ、柱を入れなかった大工さんの考えが現地を見させていただき、想像ができましたので、その大工さんの思いを残した形で耐震補強を検討しております。
今回のことに限らず、住んでいるからゆえに気がついていないことは、大いにあると思います。
何もないからインスペクションは、必要ない、ではなく、何もないことに危機感を感じて頂き、ぜひ、インスペクションを受けられることをおすすめ致します。