2025.06.30NEW
みなさま、こんにちは。
つくば住宅工房の橋本です。新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。
建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
今日は、「今の暮らしを変えるほどの理由はないけれど、心のどこかでひっかかっている」——
そんな気持ちに寄り添うようなお話を書いてみたいと思います。
とりあえず、今は住めている
家に大きな不満があるわけではない。
雨風がしのげて、日常はちゃんとまわっている。
生活にものすごく困っているわけでもない。
けれど、満たされているかというと、正直よくわからない。
「このままでいいのかな」と思う瞬間が、ふとした拍子に訪れることがあります。
でも、それを誰かに伝えるほどではない気がして、
またひとつ、季節が過ぎていきます。
新築にするか、建て替えるか、リノベーションするか。
そんな選択肢が浮かぶ前に、
心の中には「はっきりしない違和感」があることも。
たとえば——
「なんとなく落ち着かない」
「少し手を入れたい気もするけれど、どこに手をつけたらいいか分からない」
「家族が帰ってくると嬉しいけど、それが“目的”でいいのか迷ってしまう」
そうした揺らぎは、数字や性能だけでは語れない、暮らしの中の静かな声なのかもしれません。
リノベーションという選択は、何かを“直す”というより、
「今の暮らしと、ちゃんと向き合ってみる」という行為そのものかもしれません。
設備の古さや間取りの不自由さだけではなく、
そこに住む人の想い、家族の関係性、
そして「これからどうありたいか」という問いが、静かに流れ込んでくる。
住まいは、単なる“器”ではなく、
これからの時間をどう積み重ねていきたいかを考える“場”でもあるのだと思います。
この文章は、なにかを決断してほしくて書いているわけではありません。
暮らしを変える必要はないかもしれないし、変える準備が整っていないかもしれない。
でも、「このままでいいのかな」と感じたその気持ちだけは、
そっと見過ごさずにいてほしいと思っています。
今すぐじゃなくていい。
正解を出さなくてもいい。
けれど、たった一度だけでも、
“自分の暮らしと、きちんと話してみる時間”を持つことは、
きっと何かを変えるきっかけになるはずです。
建築家は、暮らしの中にある“まだ言葉になっていない気持ち”に光をあてます
「暮らしを変えたい」と思ったとき、最初の一歩はとてもむずかしいものです。
どこをどう見直せばいいのか。何から始めればいいのか。
そんなとき、建築家は“まったく別の視点”からその迷いに光をあててくれることがあります。
答えを押しつけるのではなく、その人のなかにある感覚を丁寧にすくい上げ、かたちにしていく。
その対話の中で、「これなら進めそう」と思える道が、少しずつ見えてくるかもしれません。
つくば住宅工房は、そんな建築家と住まい手をつなぐハブのような存在でありたいと思っています。
暮らしの変化が、無理なく、あたたかく始まっていくように。
そのそばで寄り添えることが、わたしたちのよろこびです