コンセントをもう一つ付ければよかった。ここは少し広くしてもよかった。どれだけ考えて建てても、暮らし始めればそういうことは出てきます。

だから私は、「後悔が一つもない家」を目指す必要はないと思っています。それはかなり難しいことです。

家づくりで満足している人が、何もかも完璧だったとは限りません。「もう少しこうすればよかった」という部分があっても、「それでも、この家でよかった」と思えることはあります。

その違いは、「なぜ、この家にしたのか」を自分たちで分かっているかどうかではないか。長く住宅の仕事に関わっていて、そう思っています。

たとえば、家をもう少し大きくすることもできたけれど、庭を残すことを選んだ。設備を増やすより、毎日使う場所に予算をかけた。そういう選択には、その家族なりの理由があります。あとになって別の選択肢を知ったとしても、「自分たちは、これを大事にしたかったから」と言える。私は、そういう家は強いと思っています。

人気の設備が、我が家にも必要とは限りません。家づくりの「○○したほうがいい」という話には、たいてい「誰にとって?」が抜けています。

何を選ぶかと一緒に、なぜ選ぶのかも話しましょう。うまく言葉にできなくても大丈夫です。