みなさま、こんにちは。
つくば住宅工房の橋本です。
新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
三世代が住み継ぐ家の現場からお話したいと思います。
以前、ブログにて、柱の欠けが規定値を超えていることをお話しましたが、それだけでなく、筋交い(耐力壁)が想定以上に入っていないことが、解体してみた分かったことです。
今回の計画では、お客様とのお打ち合わせで、評点1.0を超える耐震補強は、工事の優先順位を落とす工事方針としておりましたが、さすがにこの壁量(耐力壁の数量)が無さすぎて、危険と判断し、必要最低限の筋交を入れることとしました。

つくば住宅工房で行なっている建物調査(非破壊検査)では、サーマカメラを用いて、筋交の有無を目視確認しております。

使用しているサーモカメラ
HIKMICRO B10 サーモグラフィー
https://www.hikmicro.jp/products/b10

出所:HIKMICRO
サーモカメラは、あくまで、物の温度を色温度で、映し出す機械のため、温度差が少ない、室内の間仕切り壁は、筋交があったとしても、映らないことがございます。
今回のお家でも、サーモカメラを用いて、検査を行いました。結果、ほとんど筋交を確認することができませんでしたので、温度差が出にくいのかなと思いましたが、解体してみると、ほとんど筋交がなく、ある意味では、サーモンカメラの性能を実感することができるいい機械でもありました。
とはいえ、筋交検査専用というわけでは、ないため、確実なものでは、ありません。そこで、点検口から床下と天井裏に潜って、筋交を実際に確認するという、調査を合わせて実施しております。
床下点検口は、キッチンや洗面脱衣室に、天井点検口は、押入れに、設置されていることが多いです。もし、点検口の位置を把握されていないようであれば、一度、確認してみては、いかがでしょうか。突然の不具合で、急遽、修理をしなければいけないといった時に、点検口の位置を把握しておくとおかないとでは、被害の大きさが変わる場合もあります。
話を戻しまして、今回、筋交のほかに、構造用合板を用いた、耐震補強も行いました。補強したい箇所が外壁なのか、室内カバーなのか、解体をする箇所なのか、しない箇所なのか、どれくらいの耐力数値を持たせるのか、など、全体のバランスを考えながら耐震補強計画を行った上で、使用する部材を検討しております。
とにかく強くすることが、正しいわけではなく、お家それぞれにあった、ちょうどいい、やりすぎていない、予算を抑えた耐震補強という考えのもと、つくば住宅工房では、耐震改修を行なっております。
ちなみにサーモカメラで調査できるのは、筋交だけでは、ありません。それは、次の機会にお話したいと思います。
つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー
二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者
既存住宅状況調査技術者
福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。
新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。
家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。
「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」