2025.06.29
みなさま、こんにちは。
つくば住宅工房の橋本です。新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。
制度が変わった。その本質は「安心の見える化」
2025年4月の建築基準法改正を受けて、「リフォームまで確認申請が必要になるなんて厳しい時代になった」といった反応も聞こえてきます。
けれど実際には、この改正は“新しいルール”ではありません。むしろ、これまで曖昧に扱われていた領域に、ようやく制度の光が届いたと言えます。
たとえば:
• 主要構造部の50%を超える工事では、建築確認が必要に
• 木造2階建て住宅も、特例適用の対象外に
• すべての新築建築物に、省エネ基準適合が義務化
これらは“厳格化”ではなく、“本来あるべき状態”への回帰。
つまり、制度がやっと住まいの実態と信頼に追いついた。それが今回の改正の本質です。
なぜ、「正常化」が今必要だったのか?
制度の歪みがもたらした課題は、枚挙にいとまがありません。
• 特例を利用した構造的に不安な住宅の建設
• 表面だけ整えた“なんちゃって省エネ住宅”の増加
• リフォームの法的適合性が曖昧なまま流通する中古住宅
これらの積み重ねが、「中古住宅=不安」という常識を強め、安心して住み継ぐ文化を遠ざけていたのです。
今回の法改正は、こうした負の連鎖を断ち切り、住まいへの信頼を再構築するためのもの。数値と法令で安心が見える時代へ、ようやく踏み出したとも言えます。
“壊す”以外の価値を育てるために
まだ使えるのに取り壊される家。
文化、職人技、家族の記憶──それらすべてが、制度の隙間や経済合理性の前で壊されてきました。
けれど今は、違います。
• リフォーム時の法的適合性が明示できる
• 省エネ・耐震・性能証明が中古住宅市場でも“選ばれる基準”になる
• 補強や見守り機能を加えることで、「古くても安全で快適な家」に
evoltsのような製品と組み合わせれば、「不安」ではなく「希望」が語れる家に変わる。
建物の新しさだけではない、“価値の定義”が変わりはじめています。
信頼できる専門家の選び方:建築士事務所登録がカギ
制度が整った今、もうひとつ大切なのが「誰に相談するか」。
建築士の資格があるだけでは足りません。実務として設計や監理を請け負うには『建築士事務所登録』が必要です。
登録された事務所であれば:
• 管理建築士が在籍し、業務体制・法令遵守が整っている
• 建築確認・リフォーム確認申請において、法的な手続きが適正に行える
• 万が一のトラブルでも責任の所在が明確
逆に未登録業者との契約は、そもそも設計契約としての効力を持たない可能性さえあります。
正しく制度を扱えるパートナーとともに、「壊さずに住み継ぐ未来」をかたちにしていきましょう。
制度は「壁」ではなく、「橋」になる
法改正は、設計者や施工者の自由を奪うためのものではなく、本当の自由と安心を保障するための下地です。
何を守り、何を伝え、どんな未来をつなぎたいのか。
その答えを支えるために、ようやく制度が“私たちの味方”として整いはじめたのだと思います。