内装・外装を同時にリフォームするという選択|暮らしと性能を一度に整える考え方

内装・外装を同時にリフォームするという選択|暮らしと性能を一度に整える考え方

投稿日:2025年12月18日 / 最終更新日:2025年12月18日

内装と外装を同時にリフォームする人が、いま増えている理由

「内装だけ直すつもりだったのに、外壁の話まで出てきた」「外装工事を考え始めたら、室内の古さが気になってきた」。
最近、そんな流れで内装 外装 同時 リフォームを検討する方が増えています。単なる流行やお得感だけが理由ではありません。家の捉え方そのものが、少しずつ変わってきていることが背景にあります。


家を“部分”ではなく“ひとつの暮らし”として考える人が増えている

内装と外装を同時に考える人が増えているのは、「家はパーツの集合体ではなく、暮らしを包む一つの空間」だと気づき始めているからです。

まず感じられているのが、暮らしの違和感は部分的な直しでは解消しきれない、という実感です。
たとえば、リビングをきれいにリフォームしたのに、冬になると足元が冷える。原因を辿ると、外壁や窓の断熱性能が昔のままで、せっかくの内装改修が十分に活かされていないケースは少なくありません。内と外は目に見えないところでつながっており、どちらか片方だけでは限界があるという現実に直面するのです。

次に、将来を見据えて「今まとめて考えたい」という意識も強くなっています。
子育て世代の方からは、「数年後にまた大きな工事をするのは現実的じゃない」「子どもが成長して生活が落ち着く前に、家の土台を整えておきたい」という声をよく聞きます。これから10年、20年の暮らしを一度整理する。その延長線上に、内装と外装を同時に考える選択が自然と浮かび上がってきます。

さらに、情報を集めるほど「同時に考えた方が筋が通る」と気づく点も大きいところです。
断熱、耐久性、メンテナンスといったテーマを調べていくと、どれも内装と外装の境界をまたいで語られています。断熱材は壁の中にあり、外壁材の選び方は室内環境に影響する。知識が増えるほど、切り分けて考えること自体に無理があると感じるようになるのです。


工事効率よりも「暮らしの整合性」を重視する流れ

同時リフォームを選ぶ理由は、コストや工事効率だけではなくなってきています。

確かに、足場を一度で済ませられる、工期が短くなるといった合理的なメリットはあります。ただ、それ以上に重視されているのが、仕上がりや暮らし方に一貫性が生まれることです。

たとえば、外観の色や素材感と、室内の床や建具のトーンがちぐはぐだと、どこか落ち着かない家になります。内と外を同時に考えることで、「この家はこういう雰囲気で暮らす場所」という軸が一本通り、家全体が渾然一体としてまとまっていきます。これは、後から付け足す形ではなかなか生まれません。

性能面でも同様です。外壁改修のタイミングで断熱や気密の考え方を整理しておけば、室内側のリフォームで無理な調整をする必要がなくなります。その結果、「どこにいても温度差が少ない」「エアコンの効きが素直」といった実感につながり、住み心地が安定していきます。


内装と外装を同時に進めることで、見えないムダが減っていく

同時にやると大変そう、打ち合わせが増えて面倒なのでは。そう感じる方も少なくありません。
ただ実際には、内装と外装を分けて進めることで生まれる“見えないムダ”に、後から気づくケースの方が多いようです。

工事を分けると、その時々で判断軸が変わりやすくなります。内装では今の暮らしやすさを優先し、数年後の外装工事では耐久性やメンテナンスを重視する。どちらも間違いではありませんが、視点が分断されることで、家全体としての整合性が取りにくくなります。

内装側で間取りや仕上げを決めたあとに、外壁改修の制約が見えてくるケースも少なくありません。配線や開口部、断熱の考え方など、「先に分かっていれば一緒に調整できたのに」という話はよくあります。同時に考えることで、判断の前提がそろい、後戻りややり直しが減っていきます。


同時リフォームで大切なのは「まとめること」ではなく「どう描くか」

同時リフォームで満足度が分かれるポイントは、設備や素材選びではありません。
どんな暮らしを、この家で続けていきたいのか。その輪郭を先に描けているかどうかです。

今の不満だけでなく、これからの暮らしを言葉にすることで、内装と外装の関係性が自然と見えてきます。窓の位置や外からの視線の扱い方ひとつで、室内の居心地は大きく変わりますし、外構や植栽の考え方が、日々の安心感につながることもあります。

建築家がいるつくば住宅工房の提案では、図面や仕様を並べる前に、暮らしの背景や価値観を丁寧に整理する時間が大切にされています。そのプロセスがあることで、選択に迷ったときも立ち戻る軸が生まれ、結果として納得感のある住まいにつながっていきます。


内装と外装を同時に見直すことで、家は「更新」から「再設計」になる

内装と外装を同時に見直すことは、単に古い部分を新しくする作業ではありません。
これからの暮らしに合わせて、家の前提を整え直す機会でもあります。

寒さを我慢していた部屋が、断熱計画の見直しによって使いやすい場所になる。
後回しにしていた外壁や屋根の不安が解消され、安心して暮らせるようになる。
こうした変化は、部分的なリフォームでは得にくいものです。

内と外を一体で考えることで、「この家はこれから何を支える場所なのか」という問いに向き合えるようになります。それが、リフォームを“更新”ではなく、“再設計”に変えていきます。


内装と外装を同時に考えることは、これからの暮らしに向き合うこと

内装と外装を同時にリフォームするという選択は、まとめて工事をするための手段ではありません。
家を部分ではなく、暮らしとして捉え直すための考え方です。

どこまで一緒に考えるべきか分からない、今すぐ工事ではないけれど方向性だけ整理したい。
そんな段階でも、無料相談として話をしてみることで、考えが自然と整理されていくことがあります。実際の住まい方を知りたい方は、最新のOB宅訪問で、完成後の空気感に触れてみるのも一つの方法です。

家を直すことは、暮らしを考え直すこと。
内装と外装を同時に見つめる時間が、そのきっかけになれば幸いです。

著者プロフィール 
橋本 海知(はしもと かいち)

つくば住宅工房株式会社 代表 / 住宅プロデューサー

国家資格

二級建築士、石綿作業主任者、石綿含有調査者

技術資格

既存住宅状況調査技術者

福島県出身。幼少期から家づくりに関心を抱き、「劇的ビフォーアフター」などの番組に背中を押されて建築への道を志す。高校では建築科に進学し、設計製図や構造の基礎を学びながら、「建築家としての感性」を育んできた。

新卒時には現場監督として住宅建築に携わり、職人との協働を通じて現場力・統率力を身につける。その後ログハウスメーカーで構造、施工、設計、営業と多岐にわたる経験を積む。営業時代には「お客様との対話」によって、商品や仕様のこだわりが伝わることの大切さを痛感。やがて起業を決意し、つくば住宅工房を設立。

家づくりにおいて何よりも重視するのは、「言葉にならない想い」をすくい取り、家という形に昇華させること。リフォーム・リノベーション・新築を問わず、常に「住み続けるほど好きになる家づくり」をミッションに掲げ、クオリティと誠実性を第一に提案を行っている。

  • 専門領域・関心分野
  • リノベーション/リフォーム
  • インスペクション
  • 耐震診断、温熱計算
  • 中古住宅の価値再生
  • 高性能住宅設計
  • 補助金制度活用・コスト最適化
  • 顧客との対話を重視した設計提案

メッセージ

「家は人生をゆたかに包み込む舞台である」という信念を胸に、家そのものを育て、住む人の想いを反映する住まいを共につくっていきたいと願っています。ブログでは、住宅の技術的知識から心の動きを捉える対話まで、幅広くお伝えしていきます。」

橋本 海知(はしもと かいち)

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