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中古住宅の価値が変わる前に

2025.07.13NEW

みなさま、こんにちは。
つくば住宅工房の橋本です。新しく建てるのではなく、今ある家を、これからの暮らしに合わせて整えていく。
そんなリフォーム・リノベーションの道も、いいもんです。建築家と一緒に、わたしたちができることを考えながら、このブログに日々のことを綴っています。


はじめに──これは私のちいさな妄想です

この文章は、未来の住宅市場についての空想です。
けれど、空想はいつも希望に似ているものです。
数字や統計に裏付けられた確かな予測ではありませんが、建築を「記憶の器」として見つめる視点から、訪れるかもしれない未来の可能性を描いてみたいと思います。

中古住宅に眠る時間と物語。そして、それを呼び覚ますリノベーション。
それらが価値として認められる時代がやってきたなら、いま私たちは何を選ぶべきか──そんな妄想です。

中古住宅の価値が変わる前に

中古住宅取得+リノベーションという最適解

これまでの住宅市場では、築年数が価値を測る基準とされ、「古くなるほど価値が下がる」という評価軸が常識とされてきました。
けれど私は、その常識が揺らぎ始めていると感じています。そして、そうあってほしいと願っています。

中古住宅は、単なる“古さ”ではありません。使われてきた時間の厚みと、風景との呼吸が染み込んだ空間です。
リノベーションは、その記憶に新たな意味を吹き込む、まるで詩のような営みではないでしょうか。

日本とアメリカ──価値観の違いが示す可能性

この妄想を支える背景のひとつに、両国の住宅市場構造の違いがあります。

観点 日本 アメリカ
市場構造 新築中心(中古流通 約15%) 中古中心(流通量 約80%以上)
建物評価 築20〜25年で建物価値ゼロ扱い メンテナンスで築100年超も資産価値維持
思想的背景 新築=価値/古さ=劣化 使い続ける=価値/歴史=個性

アメリカでは、住宅が「資産」として扱われ、築年数の長さが個性や記憶として受け止められています。
一方で、日本では住宅が「消耗品」として見られる傾向が強く、空間に宿る価値を継承する思想が十分に育っていないのが現状です。

この違いを見つめると、「想いが価格に反映される社会」への転換は、文化的変化に必要な視点だと感じます。

つくば市に見る、価値再生の兆し

つくば市周辺では、以下のような変化が見られています。

  • 駅近エリアでは、築20年以上の住宅がリノベーション前提で再評価される動き
  • 郊外型物件でも、「土地+文脈」による新しい評価軸の萌芽
  • 「どんな暮らしが営まれてきたか」が、物件価値に影響を与え始めている

首都圏における中古一戸建て住宅価格推移

年度 成約価格(万円) 前年比(%)
2013 2,921 +0.1
2018 3,142 +2.3
2021 3,451 +10.5
2022 3,753 +8.8
2023 3,848 +2.5

築年数の増加にも関わらず、価格は上昇傾向を示しています。
これは住まい方や空間体験が、価格評価に影響し始めている兆しとも言えるのではないでしょうか。

リノベーションが開く新たな評価軸

将来、住宅の価格評価には「物語性」が加味されるかもしれません。

  • 築30年の家が、新築にはない静けさとぬくもりをまとい始める
  • 物件情報に、空間の記憶や設計思想が添えられる
  • 「どのような暮らしが営まれてきたか」が、価格の根拠となる

このような未来が訪れたとき、取得とリノベーションを通じて空間に意味を与える行為は、新築にはない価値と、未来の評価基準への先行投資となるでしょう。

バトンリレーとしての住まい

住宅は、時間とともに風化するものではありません。むしろ、風景に馴染みながら熟成していくものです。

中古住宅という“記憶の器”を受け取り、リノベーションという“思想の筆”で空間に新たな意味を与えていく。
それは、住まいの選択という枠を超えて、記憶を未来へと手渡す“バトンリレー”なのです。

この妄想が、社会の現実になるとき、今日の選択はその一歩になるかもしれません。

常識となる前に──今こそ「中古住宅取得+リノベーション」という選択を考えてみてはいかがでしょうか。

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